「AI で何かできないか、調べておいてほしい」。製造業の情報システム担当や DX 推進担当が、経営からこう頼まれることがあります。ところが調べ始めると、外観検査の AI、需要予測、生成 AI のチャットと話題が広すぎて、自社のどこから手を付ければよいかが決まりません。しかも足元では、生産管理や在庫のシステムが古く、データは紙と Excel と古いシステムに散らばっています。
本記事は、この状態から最初の一手を決めるための整理です。2026 年版ものづくり白書が引く製造事業者への調査で、AI 活用がどこで止まっているかを確かめ、AI を使う場所の分け方、データと基幹システムを整えた公開事例、基幹システムをつなぐか作り直すかの判断、刷新の手順と費用までを順に扱います。業種ごとの生成 AI ツールの選び方は 業種別 生成 AI 活用おすすめマップ で扱っているので、ツール選びはそちらを参照してください。
数字は出典の値をそのまま載せ、合計だけは図の値を足して出しています。確認日は 2026 年 10 月 5 日です。
製造業の AI 活用はどこまで進んでいるか
最初に、公的な調査で製造業全体の位置を確かめます。ここで使うのは、経済産業省・厚生労働省・文部科学省が 2026 年 5 月 29 日に公表した 2026 年版ものづくり白書 です。2026 年版は、第 4 章第 3 節を「革新的な AI・デジタル技術を活用した製造業の多角化」にあてています。以下の数字は、白書が引く三菱 UFJ リサーチ&コンサルティングの報告書 (2026 年 3 月) の製造事業者への調査によるものです。
| 白書の図 | 調べたこと | 回答数 | 結果 |
|---|---|---|---|
| 図 431-2 | デジタル技術の活用に向けた戦略を記した事業計画 | 大企業 126 社 / 中小企業 2,893 社 | 既に策定・策定中の合計は大企業 55.5%、中小企業 18.2%。中小企業の 55.0% は「策定しておらず、予定もない」 |
| 図 432-2 | 製造プロセスのデータの取得・活用・効果 | 2,851 社 | データを取得 66.0%、活用 51.4%、活用で効果あり 43.9% |
出典は 白書 第 1 部第 4 章第 3 節 (PDF) です。図 432-2 の「データ」は、白書が「マニュファクチャリングチェーン」と呼ぶ一連の製造プロセスのいずれかで取得しているデータを指します。マニュファクチャリングチェーンは、設計から展開するエンジニアリングチェーン、材料調達から商品納入までのサプライチェーン、そのうち工場中心の製造機能を切り出したプロダクションチェーン、顧客接点と関わるサービスチェーンの 4 つから成ります。
この 2 つの図から読み取れることは 2 つあります。
1 つ目は、AI を使う前提になるデータの段階で、すでに半数以上の企業が効果まで届いていないことです。データを取得している企業は 3 社に 2 社ありますが、効果が出た企業は 4 割強にとどまります。白書の概要 (PDF) は、企業間のデータ連携が 2 年前からほぼ進んでいないことも指摘しています。
2 つ目は、企業規模の差です。中小企業では、デジタル技術の活用戦略を記した事業計画を策定しておらず、予定もない企業が半数を超えます。
もう 1 つ、白書の図 432-3 では、サプライチェーンの目的のうち「生産計画・調達・在庫管理の各業務負荷軽減、効率化、生産性向上」で、データの取得・活用と効果が最も多くなっていました。
製造業の AI 活用が止まる 3 か所
では、どこで止まっているのか。白書の図 431-7 は、デジタル技術の活用に向けた戦略を立てて実行するときの課題を、戦略の策定状況別に集計しています (複数回答)。
| 課題 | 策定済み (251 社) | 策定中 (340 社) | 予定はある (790 社) | 予定もない (1,598 社) |
|---|---|---|---|---|
| デジタル技術に関する知識やノウハウの不足 | 46.2% | 50.6% | 58.5% | 51.1% |
| デジタル技術導入や戦略策定に必要な人材の不足 | 49.8% | 47.6% | 57.7% | 47.9% |
| 既存業務やシステムとの連携・調整が難しい | 43.0% | 39.1% | 40.6% | 23.5% |
| どのデジタル技術を活用すべきか判断できない | 16.7% | 26.2% | 32.3% | 33.7% |
白書の設問は AI を含むデジタル技術全般についてのものですが、AI の活用にも同じ構図が当てはまると考えると、止まる場所は次の 3 か所に整理できます。
- 知識と人材の不足。どの段階の企業でも 5 割前後が挙げています。方針の無い企業ほど「どの技術を使うべきか判断できない」が多くなります
- 使えるデータの不足。データを取得している企業は 66.0% ですが、活用まで進むと 51.4%、効果が出たのは 43.9% と割合が下がります。紙の指示書やベテランの頭の中にある段取りは、そもそもデータになっていません
- 既存の業務とシステムとの連携。戦略を策定済みの企業で 43.0% が挙げています
3 つ目は見落とされやすい点です。戦略の予定もない企業では 23.5% ですが、策定済み・策定中・予定がある企業では 39.1〜43.0% にのぼります。戦略づくりが具体的になるほど、データを持つ生産管理・在庫・受発注のシステムとの連携が課題として見えてくる、と読めます。十数年前に作られ、仕様を知る人がいない基幹システムでは、この連携がさらに難しくなります。
要点
製造業の AI 活用は、知識と人材の不足に加え、「データが取り出せるか」「基幹システムとつながるか」でも止まります。AI の製品を比べる前に、使いたいデータの所在と取り出し方を確かめてください。
製造業で AI を使う場所 — 現場・間接業務・データ基盤
製造業の AI 活用は、話題が広いぶん論点が混ざりやすくなります。使う場所で 3 つに分けると、必要なデータと止まりやすい箇所がはっきりします。
| 使う場所 | 主な用途 | 必要なデータ | 止まりやすい点 |
|---|---|---|---|
| 現場 | 外観検査、設備の予兆保全、作業の見える化 | 画像・センサー・稼働ログ (数ヶ月〜年単位の蓄積) | データの蓄積とラベル付けに時間がかかる。現場の判断基準の言語化 |
| 間接業務 | 見積もり、問い合わせ対応、技術文書の検索、報告書・議事録の作成 | 過去の見積もり・図面・仕様書・品質文書・マニュアル | 文書が紙や個人のフォルダに散らばっている。機密情報の線引き |
| データ基盤 | 生産計画・調達・在庫の最適化、部門をまたぐ分析 | 生産管理・在庫・受発注のデータ (基幹システムの中) | 古いシステムからデータを取り出せない。部門ごとにコードや形式が違う |
生成 AI がすぐに試しやすいのは、間接業務の文書作業です。汎用のチャットでも効果を確かめられるため、最初の 1 業務に向きます。一方、現場の AI は画像やセンサーのデータを貯める期間が要り、データ基盤の最適化は基幹システムのデータが前提です。白書でデータ活用の効果が最も多く出ていた「生産計画・調達・在庫管理」は、3 つ目のデータ基盤にあたります。
3 つの場所は独立していません。見積もりの AI も、過去の見積もりと原価のデータが基幹システムから取り出せなければ、精度が上がりにくくなりがちです。どの場所から始めても、多くの場合は基幹システムのデータに行き着きます。
データと基幹システムに手を入れた公開事例 5 件
ここでは、AI モデル単体の事例ではなく、データと基幹システムに手を入れた事例を取り上げます。4 件は 2026 年版ものづくり白書のコラム、1 件は当事者企業の公式発表です。
| 企業 | 取り組み | 公表された内容 |
|---|---|---|
| エフピコ | SCM システムの導入と、マスタ・設備仕様の統一 | 約 12,000 アイテム。2020 年以降は欠品を限りなく防ぐ体制 |
| 鍋屋バイテック | 基幹システムの刷新を経営課題に結び付け、RFP を作り込む | 過去に 2 度却下された刷新案を再定義して承認。RFP は 16 ヶ月かけた |
| ジェイテクト | 生成 AI でデータを整理する基盤を導入 | 基幹工場でスモールスタートし、自力で 5 工場へ展開 |
| 常石造船 | 3D-CAD の全拠点展開と、調達システムのデータ連携 | 設計リードタイムを 2 割削減。調達システムをサプライヤー 450 社が導入 |
| パナソニック コネクト | 品質管理の社外秘文書に答える AI | 文書 630 件・11,743 ページが対象。社員評価 3.5 点 (5 点満点) |
パナソニック コネクト以外の 4 件は白書のコラムで、ジェイテクトの例はデータ基盤を提供するエフティー社のコラムに載っています。出典は 2026 年版ものづくり白書 第 1 部第 4 章第 3 節 (PDF) のコラムと、パナソニック コネクトのニュースリリース (2024 年 6 月 25 日) です。
エフピコ: 導入直後の混乱を、情報公開とマスタ整備で定着につなげた
食品トレー容器を作るエフピコ (広島県・従業員 988 名) は、営業から FAX で届く紙束をもとに生産計画を作っていた状態から、2001 年に経営層主導で SCM システムの導入に着手し、2003 年 6 月に本格稼働させました。導入直後は現場が混乱し業績が悪化しましたが、需要予測と実績の乖離まで社内に公表するなど情報を隠さず共有して、システムを定着させました。定着に向けては、製品と製造設備のひも付けなど膨大なマスタ情報を整備し、導入に合わせてどの工場の機械でも金型を使えるよう設備の仕様も統一しています。現場の抵抗を減らすため、操作画面は変えずに中身だけを刷新したとされています。
AI の事例ではありませんが、データを使える状態にするまでにどれだけの整備が要るかを示す例です。
鍋屋バイテック: 刷新を「経営課題の解決手段」として再定義した
機械要素部品メーカーの鍋屋バイテック (岐阜県・従業員 467 名) は、数十万点の品番を即納する体制を基幹システムで支えてきました。レガシー化のおそれから刷新を迫られていたものの、刷新案は過去に 2 度却下されています。そこで刷新を「即納供給を支える物流改革」という経営課題の解決手段として位置づけ直し、取締役会の承認を得ました。RFP (提案依頼書) は 16 ヶ月かけて作り込み、ベンダーは知名度よりも、プロジェクトマネージャーや開発人員の確保、次のプロジェクトに対応できる力で選んだとされています。見積システムはフルスクラッチで作り、目的に応じてパッケージと使い分けています。
ジェイテクト: 生成 AI でデータを整え、小さく始めて 5 工場へ
白書のコラムでは、生成 AI で構造化・非構造化のデータを読み込んで整理するクラウド基盤「Kraken.」(エフティー社) を、大手機械・自動車部品メーカーのジェイテクトが導入した例が紹介されています。設備の稼働状況から手書きの帳票までのデータを一元的に集め、自分たちで分析できるようになったとされます。基幹工場でスモールスタートし、その後は自力で 5 工場へ展開しています。
常石造船: 全拠点の設計データと調達システムをつないだ
造船の常石造船 (広島県・従業員 847 名) は、2017 年に国内外の全拠点へ 3D-CAD を展開し、図面の共通化を進めました。複数拠点で同じ船の図面作業を分担できるようになり、設計リードタイムを 2 割削減したとされています。自社開発の調達システムは取引先のサプライヤー 450 社が導入し、発注から納品までを電子化しました。
パナソニック コネクト: 品質管理の社外秘文書に答える AI
パナソニック コネクトは、2023 年 9 月に公開情報をもとに答える AI を全社員で試験運用し、その結果を踏まえて 2024 年 4 月から、品質管理の社外秘情報 630 件・11,743 ページに答える AI の活用を始めました (2024 年 6 月の発表時点)。社員の評価は 3.5 点 (5 点満点) でした。全社向けの AI アシスタントを含む詳細は AI 活用事例 8 選 で扱っています。
5 件に共通していたのは、マスタやデータの整備、既存システムとのつなぎ、小さく始めて広げる進め方でした。
AI を使う前に、基幹システムをつなぐか作り直すか
前の節までで見たとおり、製造業の AI 活用は、多くの場合基幹システムのデータに行き着きます。そこで必要になるのが、いまの基幹システムを「つないで使う」か「作り直す」かの判断です。目安は次のとおりです。
| 確かめること | つないで使える状態 | 作り直しを検討する状態 |
|---|---|---|
| データを取り出せるか | CSV の出力や API、データベースの参照ができる | 画面から手で書き写すしかない |
| 保守できる人がいるか | 社内か保守ベンダーに仕様を知る人がいる | 開発会社が撤退した、担当者が退職した |
| 改修にかかる時間 | 数日〜数週間で直せる | 小さな変更でも数ヶ月待つ、触ると何が壊れるか分からない |
| 基盤のサポート | OS やミドルウェアのサポートが続いている | サポートが切れている、切れる時期が近い |
つないで使える状態なら、刷新を待たずに AI 側の検証を始めてかまいません。右の列に当てはまる項目が多い場合は、AI の検証を小さく進めつつ、基幹システムの刷新の計画を先に立てます。データを取り出せない基盤の上で AI の検証を重ねても、本番に移す段階で、基幹システムとの連携ができずに止まるからです。
作り直す場合も、AI は役に立ちます。誰も把握していない既存システムでも、ソースコードやデータベース定義を AI に読ませ、画面ごとの処理の流れ、テーブル間の関係、外部連携の仕様を文章に書き起こさせることができます。人が 1 画面ずつ追っていた仕様の棚卸しが、AI の下書きを技術者が確かめる形に変わり、調査の工程が短くなります。下書きが正しいとは限らないため、最後は人が裏を取ります。このように AI を調査・実装・検証に組み込む進め方を AI 駆動開発と呼びます (基礎は AI 駆動開発とは何か で整理しています)。
FIXITAI を入れたいだけなのに、基幹システムの話になるの?
Dodaiなります。AI に読ませたいデータは、たいてい基幹システムの中にあります。
FIXITじゃあ、全部作り直してからじゃないと始められないってこと?
Dodaiデータを取り出せるなら、そのままつないで試せます。取り出せないときだけ、刷新を先に計画します。
生産管理・在庫システムを止めずに刷新する手順
作り直すと決めた場合の進め方です。生産管理が 1 日止まれば現場が動かず、在庫がずれれば出荷に直結します。そのため、ある日いっせいに切り替える一括移行は避け、機能や部門ごとに少しずつ移す段階移行を採ります。標準的な期間は、既存システムの棚卸しに 2〜3 週間、段階移行のロードマップ作成に 1〜2 週間、機能のまとまりごとの実装に 3〜5 ヶ月、段階リリースとカットオーバーに 1 ヶ月です。実際に Rails 系の業務システムを段階移行で刷新し、通常見積もり 8 ヶ月の案件を 4 ヶ月で移した事例 (レガシー刷新を半分の期間で実現した事例) の進め方をもとにしています。
既存システムの棚卸しと、残す・捨てる・作り直すの仕分け
最初にやるのは、新しい設計を描くことではなく、いま動いているものを正確に把握することです。リプレイスの失敗でよくあるのは、現行システムが何をしているかを把握しきれないまま新システムを作り始め、移行の直前に「この機能が抜けている」と気づく形です。
棚卸しでは、画面一覧、データベースのテーブル構造、外部システムとの連携 (会計、EDI、設備からのデータ取り込みなど)、帳票の 4 つを中心に洗い出します。前の節で触れたとおり、ここで AI に下書きを作らせると、読み解きの工程が短くなります。
ただし、下書きには「実装されているが誰も使っていない機能」や「コードからは読めない現場の運用ルール」が混ざります。そこで、AI が起こした下書きを現場のキーパーソンと突き合わせ、残す機能・捨てる機能・新システムで作り直す機能を仕分けます。この仕分けが、期間と費用を大きく左右します。使われていない機能まで丸ごと移植すると、工数が膨らみます。「現行どおり」を要件にしないことが、短い期間で進める前提になります。
マスタやコードの体系を揃えるのも、この段階です。エフピコの事例のように、マスタの整備はシステムの定着を左右し、のちに AI でデータを使うときの土台にもなります。
要点
残す・捨てる・作り直すの仕分けは、AI の下書きだけで決めず、現場と突き合わせて決めます。
ユーザー操作型 Feature Flag による無停止の段階移行
棚卸しと設計が固まったら、移行に入ります。中核になるのが、ユーザー操作型の Feature Flag (機能フラグ) です。新しい画面や機能を「誰に・どの範囲で見せるか」を、コードを直さずに切り替えられる仕組みで、業務ユーザー自身が画面から操作できる形にします。たとえば、まず情報システム部門だけが新しい在庫画面を使い、問題がなければ 1 つのラインの担当者へ、次に工場全体へと公開範囲を広げます。不具合が見つかればフラグを戻すだけで旧画面に戻れるため、システム全体を止める必要がありません。
注意
製造業では停止の損害が在庫から出荷へ連鎖するため、全面入れ替えの一発勝負は割に合いません。すぐ後戻りできる小さな単位に区切って移すほど、不具合が出ても被害を 1 つの工程に閉じ込められます。
この方式の利点は 2 つあります。1 つ目は、現場が新画面に触れた反応を見ながら範囲を広げられるため、ベテランの暗黙の段取りに起因する想定外を早く拾えることです。2 つ目は、旧システムを並行稼働させながら移せるため、既存ベンダーが保守を続けている間も衝突なく進められることです。新旧のデータの同期や旧システムを止める時期は、移行計画とあわせて設計します。止めずに移した別の事例は 止めずに刷新できた基幹システム移行 で公開しています。
進める順番 — 小さく試す業務と、基幹側の整備を並べる
AI 活用と基幹システムの整備は、どちらかを終えてから次へ進むものではありません。次の 4 段階を、重ねながら進めます。
- 経営課題に結び付ける。「AI を使う」ではなく、「欠品を減らす」「見積もりの回答を早くする」のように、解きたい課題から始めます。鍋屋バイテックが刷新を物流改革の手段として再定義し、承認を得た進め方と同じです
- データの所在を棚卸しする。課題に必要なデータがどのシステム・どの紙・誰の頭にあるかを洗い出し、取り出せるかを確かめます
- 小さく試す業務を 1 つ選ぶ。データを取り出せる業務で、AI の効果を短い期間で検証します。進め方と止め方の判断は AI エージェントの PoC の進め方 で詳しく扱っています。データを取り出せない基幹システムは、ここで刷新の計画に回します
- 横展開する。1 つの工場・1 つの業務から広げます。ジェイテクトが基幹工場から 5 工場へ広げている順番です
この間、社内に AI を使いこなす人を育てる取り組みも並行させます。白書の調査で最も多い課題は、知識と人材の不足でした。開発部門への Claude Code や Cursor の定着は、Claude Code を現場に定着させる進め方 で扱っています。
FIXIT最初の 1 業務は、どうやって決めればいいの?
Dodaiデータを取り出せて、検証がうまくいかなくても生産を止めない業務から選びます。
FIXIT見積もりとか、文書の検索とか?
Dodaiそうです。生産計画のように止められない業務は、効果を確かめた後に広げる先です。
費用と期間の目安
最後に、費用と期間の目安です。いずれも税抜で、対象システムの規模、連携の数、拠点の数、移行するデータの量で幅が出ます。
FIXIT のシステム刷新・リプレイスの目安は 1,500 万〜4,500 万円 (税抜) です。金額を大きく左右するのは、ドメイン (機能のまとまり) の数、データ移行の難易度、業務停止枠の厳しさの 3 つです。棚卸しで「現行どおり」を要件から外せるほど、ドメインの数と移行するデータが減ります。
FIXIT が公開している事例の期間と費用は次のとおりです。費用は、各事例で示している「本案件相当」の目安です。
| 事例 | 内容 | 期間 | 費用の目安 (税抜) |
|---|---|---|---|
| 製造業の見積もり業務の自動化 | 図面・仕様書から見積もりの根拠を作り、人が承認する仕組み | 8 週間 | 600 万〜1,000 万円 |
| レガシー刷新 | 卸売・流通業の 10 年稼働の業務システムを段階移行でリプレイス | 4 ヶ月 (通常見積もり 8 ヶ月) | 1,800 万〜2,400 万円 |
| 止めずに刷新した基幹システム | 物流業の 24 時間稼働の基幹システムを Feature Flag で段階リリース | 5 ヶ月 (並行運用 6 週間) | 1,500 万〜2,400 万円 |
間接業務の AI は、見積もり自動化の事例のように 8 週間ほどで業務に組み込める規模もあります。基幹システムの刷新は数ヶ月単位の投資になるため、先にデータの所在と、残す・捨てる・作り直すの仕分けまでを済ませておくと、見積もりの幅が狭まります。刷新の工程と費用の考え方は システム刷新・リプレイス にまとめています。
まとめ
製造業の AI 活用は、知識と人材の不足に加え、「データが取り出せるか」「基幹システムとつながるか」でも止まります。2026 年版ものづくり白書の調査では、製造プロセスのデータを取得している事業者は 66.0% ですが、活用で効果が出たのは 43.9% でした。戦略を策定済みの企業でも 43.0% が「既存業務やシステムとの連携・調整が難しい」を課題に挙げています。
最初の一手は、解きたい経営課題を決め、必要なデータの所在を棚卸しすることです。データを取り出せる業務では小さく AI を試し、取り出せない基幹システムは段階移行での刷新を計画します。公開事例に共通していたのは、マスタやデータの整備、既存システムとのつなぎ、小さく始めて広げる進め方でした。在庫・倉庫管理システムを止めずに刷新する物流業の進め方は 物流・運送業の AI 駆動開発 でも扱っています。
生産管理・在庫システムが AI を使える状態かどうか、つなぐか作り直すかの判断から相談したい場合は、無料相談 でお知らせください。現状の棚卸しと、残す・捨てる・作り直すの仕分けからお手伝いします。



