9 月 1 日から、Sonnet 5 の請求額は上がります
Claude Sonnet 5 には公開以来、導入価格として 100 万トークンあたり入力 $2・出力 $10 が適用されてきました。この価格は 2026 年 8 月 31 日で終了し、9 月 1 日からは標準料金の入力 $3・出力 $15 に戻ります。単価にして 1.5 倍です。
見落としやすいのは、上がり幅が 1.5 倍では止まらない場合があることです。Sonnet 5 は新しいトークナイザーを採用しており、前世代の Sonnet 4.6 と比べて同じ文章でもトークン数が約 30% 増えます。4.6 から乗り換えた構成では、単価 1.5 倍とトークン増が重なります。
本記事では、9 月に何がどれだけ変わるのかと、それまでに見直しておく点を整理します。Sonnet 5 そのものの性能や破壊的変更も後半でまとめているので、乗り換えを検討中の方はそのまま読み進めてください。出典は Anthropic の 公式発表 と 公式ドキュメント です。
ひと目でわかる Sonnet 4.6 → Sonnet 5 の変更点
| 観点 | Sonnet 4.6 | Sonnet 5 |
|---|---|---|
| 料金 (100 万トークンあたり) | $3 / $15 | $3 / $15 (8 月 31 日まで $2 / $10) |
| Terminal-Bench 2.1 | 67.0 | 80.4 |
| SWE-bench Pro | 58.1 | 63.2 |
| thinking の既定 | オフ | オン |
| 手動の拡張思考 | 非推奨だが動作 | 廃止 (400 エラー) |
| サンプリングパラメーター | 設定可能 | 既定値以外は 400 エラー |
| effort | low〜max | low〜max (xhigh が追加) |
| トークナイザー | 従来 | 新方式 (同じ文章で約 30% 増) |
| コンテキスト | 100 万トークン | 100 万トークン (既定かつ上限) |
ベンチマーク — 前世代の最上位に肉薄した
公開時のシステムカードで示された主な数字は次のとおりです。比較対象は前世代の Sonnet 4.6 と、当時の最上位である Opus 4.8 です。
| ベンチマーク | Sonnet 4.6 | Sonnet 5 | Opus 4.8 |
|---|---|---|---|
| Terminal-Bench 2.1 | 67.0 | 80.4 | 74.6 |
| SWE-bench Pro | 58.1 | 63.2 | 69.2 |
| Humanity's Last Exam (ツールあり) | 46.8 | 57.4 | 57.9 |
| OSWorld-Verified | 78.5 | 81.2 | 83.4 |
読み取れる形ははっきりしています。ターミナル操作を測る Terminal-Bench 2.1 では Sonnet 5 が Opus 4.8 を上回り、知識集約的な Humanity's Last Exam でもほぼ並びました。一方、難易度の高いコーディングを測る SWE-bench Pro では 6 ポイントの差が残っています。
つまり「中位モデルが最上位に全面的に追いついた」わけではなく、「領域によっては追い越し、難所ではまだ差がある」という状態です。自社の作業時間が最も長い領域がどちらに寄っているかで、乗り換えの損得は変わります。
補足
ベンチマークの数字はいずれも Anthropic が公開したものです。総合点の高さより、自分たちが最も時間を使う作業と重なっているかを見て判断すると、モデル選びを誤りにくくなります。
料金 — 8 月 31 日を境に何が変わるか
Sonnet 5 の標準料金は 100 万トークンあたり入力 $3・出力 $15 で、Sonnet 4.6 から据え置きです。ここに 2026 年 8 月 31 日まで導入価格が乗っており、期間中は入力 $2・出力 $10 で使えています。
| 期間 | 入力 | 出力 |
|---|---|---|
| 〜2026 年 8 月 31 日 | $2 | $10 |
| 2026 年 9 月 1 日〜 | $3 | $15 |
入力と出力の両方が 1.5 倍になるため、トークンの内訳がどうであれ総額は 1.5 倍です。内訳を細かく詰めなくても、9 月の増額はおおよそ読めます。
注意
導入価格を前提に試算して構成を決めていると、9 月にそのままコストが跳ねます。恒常的に使う構成は標準料金で見積もり直し、導入価格は移行期の余裕として扱ってください。
上がり幅が 1.5 倍で止まらない場合
Sonnet 4.6 から乗り換えた構成では、単価とは別にトークン数も増えています。後述のとおり、同じ文章でも約 30% 多くカウントされるためです。
単価 1.5 倍とトークン増が重なると、4.6 時代の請求額を基準にした感覚とはずれます。9 月の請求を見て驚かないために、比較の基準を「4.6 のときの請求額」ではなく「Sonnet 5 で実測したトークン数 × 標準料金」に置き換えておいてください。
9 月までに見直しておく 4 点
期限まで残り時間があるうちに、次の 4 点を確認しておくと 9 月の跳ね上がりを抑えられます。
1 つ目は、見積もりの前提です。試算に使っている単価が $2 / $10 のままなら、$3 / $15 に置き換えて総額を出し直します。ここで許容できない水準になるなら、以降の 3 点で調整します。
2 つ目は、トークン数の再計測です。Sonnet 4.6 で測った値を流用していると実態とずれます。トークンカウント API を Sonnet 5 に対して実行し、代表的なプロンプトで測り直してください。
3 つ目は、推論の深さ (effort) です。Sonnet 5 は low から max まで指定でき、既定は high です。日常的な作業は medium でも足りる場面が多く、下げた分がそのままトークン削減になります。Anthropic の移行ガイドでも、Sonnet 5 の medium は Sonnet 4.6 の high に相当する水準として案内されています。
4 つ目は、階層の振り分けです。分類や短い要約のように扱う情報量が小さい作業なら、さらに下の Haiku (入力 $1・出力 $5) に寄せる余地があります。逆にやり直しの高くつく難所は Opus に置いたほうが総額では安く収まります。階層ごとの考え方は Claude の Opus と Sonnet の違い に整理しました。
現行世代での具体的な振り分けは Claude Opus 5 と Sonnet 5 の使い分け を参照してください。
新しいトークナイザー — 同じ文章で約 30% 増える
Sonnet 5 は新しいトークナイザーを採用しました。同じ入力文でも、Sonnet 4.6 と比べておよそ 30% 多いトークン数になります。増加率は内容によって変わります。
API の形は変わらないのでコード修正は不要ですが、トークン数で測っている値はすべて影響を受けます。影響が出るのは次の 4 か所です。
usageの各フィールドとトークンカウント API の結果が、同じ文章でも増える- 100 万トークンのコンテキストに収まる文章量が実質的に減る
max_tokensを期待する出力長の近くに設定していると、同等の出力が途中で切れる- 単価が同じでも、1 リクエストあたりの請求額が変わる
旧モデルで測ったトークン数を流用せず、Sonnet 5 で測り直してください。特に 3 番目は、移行直後に「なぜか応答が途中で終わる」という形で表面化しやすい落とし穴です。
破壊的変更は 3 点
コードに手を入れる必要があるのは次の 3 点です。いずれも Opus 系では先行して入っていた変更で、Sonnet 系にも揃った形になります。
1 点目は、thinking が既定でオンになったことです。Sonnet 4.6 では thinking フィールドを省略すると思考なしで動いていましたが、Sonnet 5 では思考が有効になります。思考を切りたい場合は thinking: {"type": "disabled"} を明示します。max_tokens は思考と応答テキストを合わせた上限なので、あわせて見直しが要ります。
2 点目は、手動の拡張思考の廃止です。thinking: {"type": "enabled", "budget_tokens": N} は Sonnet 4.6 では非推奨ながら動いていましたが、Sonnet 5 では 400 エラーになります。
{
"thinking": { "type": "adaptive" },
"output_config": { "effort": "high" }
}思考の深さは budget_tokens ではなく、上のように effort で制御します。
3 点目は、サンプリングパラメーターの扱いです。temperature・top_p・top_k を既定値以外に設定すると 400 エラーになります。既定値のまま渡すか、パラメーターごと外してください。出力の振れ幅を調整したい場合は、システムプロンプトでの指示に置き換えます。
なお、アシスタントメッセージのプレフィルが使えない点は Sonnet 4.6 から変わっていません。出力形式を固定したいときは構造化出力を使います。
effort に xhigh が加わった
Sonnet 系で初めて、effort に xhigh が入りました。low から max までの 5 段階すべてを使えます。API の既定は high です。
段階の目安は、難しいコーディングやエージェント作業が xhigh、多くの用途は既定の high、コストを抑えたい場合は medium です。medium はおおよそ Sonnet 4.6 の high に相当する位置づけとされています。対話や単純な分類のように待ち時間が体感を左右する用途では low まで下げると効きます。
前の世代から設定値をそのまま持ち込んでいる場合は、自社の評価セットで一度振り直すほうが実利があります。
サイバーセキュリティのセーフガード
Sonnet 5 は、Sonnet 系で初めてリアルタイムのサイバーセキュリティ関連セーフガードを備えたモデルです。禁止されている領域や高リスクの話題を含むリクエストは拒否される場合があります。
実装側で注意したいのは、拒否がエラーではなく成功レスポンスとして返る点です。HTTP 200 で stop_reason が refusal になります。stop_reason を確認せずに応答本文を読むコードは、拒否時に想定外の動きをします。移行のタイミングで分岐を足しておくと安全です。
FIXIT
Tsumikiターミナル操作だけですね。難しい改修はまだ Opus 系のほうが上です。
FIXIT
Tsumikiはい。ただトークン数が増えるので、請求額は先に測っておくのが早いです。
FIXIT の受け止め — まず何から試すか
整理すると、Sonnet 5 は「料金据え置きのまま、領域によっては前世代の最上位を越えたモデル」です。ターミナル操作を伴う作業や、数をこなす定型的な処理を任せる先として扱いやすくなりました。
乗り換えの第一歩としては、モデル ID を差し替えたうえで、手動の拡張思考とサンプリングパラメーターを使っている箇所を洗い出すところからです。次に max_tokens をトークナイザーの変更を踏まえて見直し、最後に effort を評価セットで振り直すと、据え置きの単価をそのまま活かせます。
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補足
2026 年 7 月 24 日に上位モデルの Claude Opus 5 が公開され、Sonnet 5 との住み分けを考える場面が増えました。どちらに何を任せるかは Claude Opus 5 と Sonnet 5 の使い分け に整理しています。
